
同じコーヒーでもこんなに違う、アラビカ種とロブスタ種
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デリケートだが味わい深いアラビカ種
品種名をコフィア・アラビカ(Coffea Arabica) というアラビカ種はエチオピアのアビシニア高原が原産であると言われていて、世界コーヒー総生産の約60%がアラビカ種。スペシャリティコーヒーが重要視されている現在のコーヒー業界ではとても重要な品種です。 在来種であるティピカ種やゲイシャ種、突然変異種であるブルボン種、人工交配によって生まれたカトゥアイ種など様々な品種に細分化することができるアラビカ種は豊かな風味や鮮やかな酸味を持っていて、豆それぞれに個性がありとても奥深く多くのコーヒーファンを虜にしています。
大味だけどたくましいロブスタ種
ロブスタ種はコンゴ原産のカネフォラ種(Coffea Canephora)のこと...だと思われがちですが正確にはカネフォラ種の変種の一つです。名前のロブスタは「強い」という意味のRobustから来ています。 世界で生産されているコーヒーの約30%がロブスタ種でインドネシアやアフリカのウガンダなどで多く栽培されています。 デリケートなアラビカ種と違い、病気や害虫に強く、低地での栽培も可能で収穫量も多いため栽培しやすいのがロブスタ種です。
こんなに違う、アラビカとロブスタ徹底比較
ではここからはアラビカ種とロブスタ種の二つをあらゆる観点から比較してみましょう!栽培環境
まずは木を栽培する上で重要になる栽培環境、二つの間に少し差があるので見ていきましょう。
標高
アラビカ種:海抜900~2000m、高地で栽培することによって必要な寒暖差や降雨量を満たすことができる。
ロブスタ種:海抜0~900m、寒冷な気温である必要はなく、低地での栽培が可能。
気温
アラビカ種:15~25℃、程よく温暖な気候でないと繁殖ができない。
ロブスタ種:20~30℃、高温にさらされてもよく育つ。
年間降雨量
アラビカ種:1500~2500㎜、深く根を張るため地表が乾いていても育つことができる。
ロブスタ種:2000~3000㎜、根張りが浅いため、雨がよく降る環境が必要。
木の育ち方
同じコーヒーが生る木でも育ちかたが少し違います。その差を見てみましょう。
根の張り方
アラビカ種:狭く深く、下に下に根を張っていくため、農園の木の間隔は1.5m程度
ロブスタ種:広く浅く、根は横に広がっていくたね、木の間隔は2m以上
開花から実が熟すまでの期間
アラビカ種:9か月、実が熟すまでの期間が比較的短く、開花時期も規則的。
ロブスタ種:11か月、熟すまでに時間がかかり、開花も不規則なため収穫期も分散しがち。
木の高さ
アラビカ種:3~4m、収穫のことを考え2mくらいまでに高さを調節するのが一般的。
ロブスタ種:10~12m、放っておくととてつもない高さになる。梯子などを使って収穫する場合も
科学的観点から
最後にちょっと専門的な視点から見ていき、味わいの差などの正体を見ていきましょう。
染色体の数
アラビカ種:44、遺伝子構造はアラビカ種の方が複雑。このさが味わいの多彩さ、複雑さの原点に。
ロブスタ種:22、アラビカ種とロブスタ種を掛け合わせるときはロブスタ種の染色体を薬品で倍にしてから掛け合わせる必要があります。
豆の含油率
アラビカ種:15~17%、この含油率の高さが立ち上る香りと滑らかな口当たりを生み出します。
ロブスタ種:10~12%、低い含油率を持つロブスタ種をブレンドしたエスプレッソからはしっかりとしたクレマが生まれます。
豆の糖度
アラビカ種:6~9%、この糖が焙煎によって変化しコーヒーの美味しさが生まれます。
ロブスタ種:3~7%、糖度の低さが強い苦味や後味につながります。
カフェイン含有率
アラビカ種:0.8~1.4%、カフェインの量は木の耐性の高さに影響を及ぼします、アラビカ種が病気等に弱いのもカフェインが少ないのが一つの理由です。
ロブスタ種:1.7~4%、ロブスタ(強い)の名にふさわしく、カフェインがしっかりと含まれているのもロブスタ種の特徴です。
どちらもコーヒーとして飲用されていながらも、あらゆる点で相違点を持つ二つの品種。 どちらも良点がある一方で欠点があり、目的に応じて品種ごとの役割があるからこそいろいろな人がいろいろな場面でコーヒーを楽しむことができているだと思うと、どちらが優れているとか、どちらがいいとか決める必要はないのかもしれませんね。